Vol.31:スタートアップでは(あまり)やりたい事ができない理由

まず「スタートアップ」というものの定義から始めますが、ここでは外部から株式割当による資金調達を行い、将来的になんらかのEXITを目指すものとして置きます。
つまり、小さな成功ではなく、大きな成功を目指すためのものです。

じゃあなぜやりたい事ができないのかという話なのですが、その理由は勝負をかけるべき領域が限られるからです。
ポール・グレアム氏なども言っていますが、ビジネスを始める上でどの市場で勝負すべきは非常に重要です。
特に、大きな成長を目指すスタートアップ経営においては、小さな市場ではなく大きな市場での勝負が(本来)常に求められます。
そのため、起業家が選択できる市場は現在であればFinTech、ヘルスケア、ECなど限られたカテゴリーのみとなります。

もちろん、その限られたカテゴリーに対してあなたがもともと興味を持っていれば、自分がやりたい事業をスタートアップとして運営することが可能です。
しかし、それらに関心がない場合であっても、大きな事業を創ることが最も重要であるスタートアップにおいては、それらの領域から何かを選び、事業を進めていかなくてはいけません。

起業家には2つのタイプがあります。
1つは自分のやりたいことをベースに事業を創る人。
そしてもう1つはトレンドを見据え事業を創る人。
もし、あなたが自分を前者寄りだと思うのであれば、スタートアップでの事業運営はあまりおすすめしません。
スタートアップをすることが、起業の目的ではないので。

Vol.30:「問題解決能力」を4つに分解してみる。

メモ代わりに少し前に考えてたことを。
「問題解決能力」ってのは4つの力に分割できるよなーと。

結論から書くと、以下の4つです。
ーーーーー
・問題を発見する力
・解決策を生み出す力
・解決策を実行するためのリソースを確保する力
・解決策を実行する力
ーーーーー

たくさんの人が問題を解決できてないことに悩んでると思うけれども、上記4つのうちどの能力が不足しているのかを考えてみると効率良く進めることができるんじゃないかなと。
というか、世の中の問題はたいてい細分化することが可能なので、そういった癖をつけておくと生きやすくなるよなと考えております。

Vol.29:スタートアップの資金調達時における時価総額はいかにして決まるのか

この前ちょっとご質問をいただいたので書いておきます。
結論から書くと、相場を土台にしつつ、最後は担当している方のノリと気分です。

スタートアップ企業における資金調達の多くはポテンシャルを評価しての時価総額となるので、結局そこをどう評価していくのかによって金額が大きく変わってきます。
資金調達合意直前の案件が、1人の動きによって結局倍の時価総額で着地したという話も聞いたことがあり、このエピソードからも時価総額というのがいかに不確実なものかが分かると思います。

さらに書いておくと、2012年くらいの時期はシード時の時価総額は3,000万円程度が一般的でしたが、現在は1億以上での資金調達が多くなっていると聞きます。
この約5年で起業家全体の能力が3倍以上になったとは考えづらいので、これらは企業価値の向上というよりも「そういう相場だから」だと言えます。

なぜ相場が変わってきているかについては、余剰資金がファンドに流れ込んでいるとか、各種スタートアップの成功事例が出ることで期待値が上がってきているとかの理由になりますが、今日はここで筆を置きます。

Vol.28:「人が人の人生を動かす」ということ

「起業しろ」というワードが一部界隈であっという間に広まりましたが、世の中にはたくさんの「◯◯しろ」が溢れています。
それは直接誰かに言われるものだけではなく、例えば進学しろ、就職しろ、という社会的圧力はもはや当たり前のように存在しています。

ただ、僕はだれかに「◯◯しろ」ってのを言いたくないんですよね。
何故かと言うと、それぞれの選択が正しいか否かはそれぞれの信念や美学、やりたいことによって異なると思っているから。
あと、僕自身が誰かにそれを言われるのが嫌いだからってのもあります。

アドバイスを求められた時には「僕だったらこうする」「こうした方がいいんじゃない?」という話はもちろんします。
でも僕はそれを強要しないし、それを盲信して失敗した時に誹りを受けるのも違うと思ってます。
最後にそう決めたのはその人なわけだから。

ちなみに「勧められたので起業しました」みたいなのはほぼ失敗するとも思ってます。
起業において一番大事なのは覚悟だと思っていて、その始まりを他者に依存しているのは脆い。

人が人の人生を動かそうとするケースのほとんどはポジショントークなので、そこは冷静に判断すべき。
僕は誰かの手を引っ張りはしないけど、その人が進もうとした時に転ばないように手を差し出す(こともある)くらいのスタンス。

蛇足ながら書いておくとプロポーズとかは上に書いたことと違うと思ってて、誰かの人生を自分の人生に重ねたいというエゴを突き通したくなっちゃうほどの想いってのは素晴らしいと考えてます。

Vol.27:スタートアップはバイアウトに向いてないという意見への反論3つ

反論、と言っても前々回のポストに自分で書いたことなんですが。
それを書いていくうちに「んなこたーんない」と自分で感じたのでその理由をパラパラと。

1. 投資家の方からの紹介が起こり得る
投資家の人は起業家とは異なる各種ネットワークを持ってらっしゃる場合が多いです。
そのため、自分ではリーチできない買い手企業とのマッチングが実現し、買収に至る可能性が高まります。

2. トレンドに乗っかりやすい
スタートアップは高速での圧倒的成長を目指して資金が投入されるものです。
そのため、直近だと例えばAIや仮想通貨などのトレンドである市場において、事業開始間もない企業であっても存在感を示すことが可能です。
それにより、その市場に参加したい大手企業などによるバイアウトが行われる場合が増加します。

3. 知名度を上げやすい
前述の通り、スタートアップ企業は資本を成長に投資するため、赤字であったとしても販管費を投入できている場合が多いです。
また、昨今のスタートアップ関連メディアの増加や起業文化の隆盛に伴い、いわゆる普通の中小企業よりも露出の機会が多く存在します。
どれだけ素晴らしい会社であったとしても知られていなければバイアウトには至らないので、この点においてもスタートアップ企業は有利だと言えます。

色々と書いてみましたが「◯◯だから絶対にバイアウトできる」なんてことはなくてその逆もまた然りです。
大事なのは良い事業を創る、ということだけ。

Vol26. 32歳になりました

僭越ながら本日誕生日ということで、皆さんからコメントやメッセージ等いただきありがとうございます。
まだお返しできておらずで申し訳ないのですが、とても嬉しく感じており順次返信させていただきますので少々お待ち下さい。
自分が30代であることにすらまだ違和感があるのですがとうとう32歳ということで、「財布をなくさない」という厳しい目標を今年は自らに課していこうと思います。

ありがちな流れとしてこの1年を振り返ってみようと思うのですが、人生にとって大きな転機のきっかけとなった1年でした。
自分の人生において何が大事なのか、どうありたいのか、何をしたいのか、ということを見つめ直し、ひとまず現時点での答えを出すことができたと考えています。
そこに触れるのはまた別の機会として、その際に感じたのは自分はとても幸せだなーと。
色んなところでしんどい思いもたくさんしてきたけれども、その結果ここにいる自分ってやつが僕はわりと好きです。
その一方、幸せであるということはネガティブから生まれる力を失いがちであるということなのですが、しばらくはこの自分と付き合ってみようと思います。

僕は100年くらいは生きたいと思ってるので、折り返し地点どころかまだ1/3も生きていません。
ただ、残り70年でもやりたいこと全部してたら足りなそうなので、引き続き日々と向き合いながら生きていく所存でございます。
改めて皆さんよろしくお願いしますー!

Vol25. バイアウトに至りやすい会社経営の進め方3点

昨日の投稿の補足として、バイアウトに至りやすいスタートアップ経営の進め方として書いていきます。
必ずこうしなくてはならないというわけではなく、そうすることで可能性が高まるよ、という話を3つに分けて。

1つめとして、そもそもスタートアップ企業はバイアウトにあまり適していないと考えています。
理由は、それらは赤字状態で経営されていることが多いからです。
※一応書いておくとスタートアップ企業というのは爆発的な成長を目指すため、短期的な利益を度外視して資金調達を繰り返しながら先行投資を継続して行います。

赤字経営の場合、ある程度リスクを取れる会社しか買い手候補となりません。
また、赤字経営の場合はいずれかのタイミングでキャッシュアウトするのですが、それは交渉において買い手に有利となります。
なぜなら、買い手は交渉を長引かせることによって有利な条件を引き出しやすくなるからです。
もちろん利益を出しているケースもままありますが、この理由からスタートアップ企業はあまりバイアウトに向いてないと考えています。
(と、思ってたんだけど書いてたらんなこたーないとも思ったので反論を改めて書きます。)

2つめとしては、時価総額を上げすぎないことが大事です。
日本では時価総額が10億円を超えてくると、その会社を買える会社はとても少なくなります。
なので、バイアウトの可能性を考慮するのであれば、意図的に時価総額を上げすぎないということも一つの戦略です。
その際には、自分たちが戦っている事業領域・買い手先候補の企業の懐具合を見ながら考えていくべき。

3つめとしては、優先株を恐れないこと。
一般的には起業家に不利になりやすい優先株ですが、仮にダウンバリューでの売却であっても投資家に経済合理性が生まれ、それにGOサインを出す可能性が高まるということです。

Vol24. バイアウト関連イベント登壇時に話した5つのこと

ひっさしぶりの更新となりますが、先日以下のイベントにお声がけいただき登壇させていただいたので、そちらで僕が話した内容についてメモ的なものを公開しておこうと思います。
売却経験者・投資家と考える、M&A成功の秘訣とそのトレンド

箇条書きで恐縮ですが、当日のアジェンダへの回答としての文章です。
説明をすっ飛ばしてて会場では補足した点もあるので、そこについてはまた書くかも。

ーーーーー
・なぜ売却を選択したのか?
 └その方が事業を伸ばせると思ったから。
 └上場→バイアウトはあまりないが、バイアウト→上場はありうるし両方興味があったから。
 └(しょうもないけど)当時30歳になったばかりだったので、良い区切りかなと思った。

・売却前後でどのような変化があったか?
 └ポジティブ:今までリーチできなかったクライアントさまにリーチできるようになった。
 └ネガティブ:SOを付与できなくなるなど採用難易度が上がった。

・売却時に気をつけたいポイントは?
 └そこに至るまでの前提としては、そもそもスタートアップはあまりバイアウトに向いてない。あとは時価総額を上げすぎないことと、優先株を恐れないこと。
 └実際の交渉時に関しては、楽観的になりすぎないこと。弁護士さんを入れてめちゃくちゃ読み込むこと。投資家を当てにしすぎちゃだめ。

・売却をおすすめする起業家・事業タイプはあるか?
 └売却したい人はみんなすればいい。
 └売りやすい事業タイプとしては、トレンドに乗っている、属人的でない、利益が短期で出やすいもの。
 └そもそも、バイアウトしたい場合は、売り先の想定含めそれ前提で事業を始めた方がいい。
  └バイアウトの延長線上に上場はあるけど、上場の延長線上にはバイアウトはあまりない。

・メッセージ
 └バイアウトしたから、上場したからといって偉いわけではない。”本当に”やりたいことを見つけてそれをやっていくことが大事。
 └人生はそれなりに長いので、上場orバイアウトではなく長いスパンでキャリアを考えるべき。
ーーーーー

僕以外の方のお話も含めた記事が近日中に公開されるかと思いますので、そちらもお楽しみにー!

Vol23. そのアイディアが失敗する3つのパターン

アイディアが失敗する時って以下の3パターンがあるなーと。
ーーーーー
A:アイディア自体の質が低い
B:実行力が低い
C:AとB両方
ーーーーー

失敗が語られる際にAが取り上げられることが多いんですが、実はBのケースが沢山あると思っています。
もちろんCのケースも多いと思うんですが、その場合はとてももったいない。

「Aが理由にされがち」という状況は問題で、なぜかと言うと実行力がないんだから次にどんな良いアイディアを出したとしてもそれも失敗しちゃうんですよね。
要するに、失敗が正しく分析されてないから間違った処方箋で対応しちゃう。

例えば1つの事業・仮説にしがみついてそのまま倒産してしまった、みたいなケースがあるとします。
原因としてその執着が問題として取り上げられますが、より大きな問題はそこで考えうる戦略を試しきれなかったことだった、という可能性もあります。
なぜなら、10個も20個も仮説を検証してそれがうまくいかないのであれば、そもそもの問題設定が間違っていると考えられるはずだから。
つまり、実行を進められず仮説があやふやであった故に、決断ができなかった、という可能性です。

実行力がなければ100%その事業は失敗します。
ただ、実行力があれば1/3は成功するんだからわくわくしますね。

※事業の急拡大につき、正社員(編集、営業他)・インターン(編集アシスタント他)積極募集中です。
「日本を正しく伝える」ことで世界に価値を提供したい方、お気軽にお声がけ下さいー!

Vol22. ”訪日旅行市場”に取り組みながら考えていること

2017年8月の訪日外国人数は前年同月比の20.9%となり、年別訪日旅行者数においても2,400万人と最高記録であった昨年を約300万人上回っています。
つまり、訪日旅行市場は今も驚異的な伸びを続けているんです。
https://goo.gl/aozgow

一時期「訪日旅行者の消費の冷え込み」が多く報道されたことがありましたが、下がったのはあくまで平均消費額であって、消費総額は増加を続けています。
そもそも、訪日旅行者数が増えれば平均が下がることは当たり前であって、これは富裕層以外のマス層もどんどんと日本に訪れている証でもあります。

話は少し変わりますが、人口減少を背景に日本のマクロ経済は縮小していきます。
翻って海外、特に日本からほど近い東南アジア諸国は人口増、経済成長を続けています。
つまり、日本企業は国内市場に留まらず、海外市場に目を向けていかなくてはいけないわけです。

僕達は訪日旅行者向けのWebサイトということで運営をしていますが、これは要するに「日本に興味のある海外の方向け」のビジネスなわけです。
つまり、海外に向けて勝負したい全てのクライアントさまに対してお役に立てるということです。

訪日旅行者向け市場というのは、”日本企業であること”が優位性を持つ唯一の市場でもあります。
僕達が頑張れば頑張るほど日本という国の魅力が世界に伝わる、僕達しかいない、という実感を持てるのはとても幸運だと感じながら毎日働いています。

引き続き、編集(正社員・インターン)スタッフも営業スタッフも募集中なので、気になる方がいたらお気軽にご連絡くださいー!